岡崎市美術博物館「三河の禅林 ―臨済禅と武家の心―」展を見る

昨日は岡崎市の美術博物館*1に行ってきました。目的は企画展「三河の禅林 ―臨済禅と武家の心―」の観覧。
展示は三河の主要臨済系寺院のつい先日まで名古屋を含む巡回展でやっていた「妙心寺展」のローカル版といった感じもして*2、なかなか巧みなタイアップ。なるほど、16世紀に妙心寺が戦国時代の諸勢力*3の保護を得て勢力を拡大したことが、三河においてもよくわかるわけですね。さびれていた寺を復興させたり、臨済宗でも別の本寺だったところを鞍替えさせたり。
私の地元がらみもありました。渥美郡の東方、東観音寺(豊橋市松原町)や太平寺豊橋市老津町)は現在も残る妙心寺系寺院なのですが、どちらにも田原城主・戸田宗光(?-1547)の書状が残っているんですね。一通は寺領安堵、もう一通は踏出(=検地*4)後の寺領増加の報告。戸田氏は田原城を拠点にして渥美半島三河湾岸の一部を支配していた戦国時代の小領主だが、現田原市域には書簡は残っていないはず。そうか、豊橋にはあるのか。無知丸出しだが、勉強になりました。
いやあ、前の真宗高田派の企画展のときも思ったけど、岡崎市美術博物館は仏教がらみで展示してる時はすごく面白いなあ。マニアックかなあとは思いつつも(そういえば日曜日の午後にしてはお客さんは少なめでした)、私は好きです。一方で美術系の展示のときはいかにもレベルが高くて、チラシを見ただけで私はあとずさりしてしまうが(私に知識とセンスがないだけといえばそうだが)。

*1:http://www.city.okazaki.aichi.jp/museum/bihaku/top.html

*2:京都国立博物館名古屋市立博物館双方の妙心寺展を(うっかり)観たのですが、名古屋版のほうが妙心寺と地方のつながりを示していて、面白かったです

*3:東海地方においては、例えば、美濃の守護代・斎藤氏(といっても道三(?-1556)が乗っ取る前)や今川義元(1519-60)など。織豊大名でも、池田照政(1564-1613)とか、山内一豊(1545-1605)なんかですね。

*4:田舎の小領主が16世紀初めにそういうことをしていたなんてちっとも知りませんでした。ああ、所詮はマニアだなあ。