海の嘔吐

Genza_Aboshi2009-10-10

台風一過初の休み。我が地元、渥美半島内をひとめぐりしてみました。
自分の周りが意外に被害を免れたので大したことがないとばかり思っていたが、海側やふきさらしの場所がすごい。車で道を走っていても、渥美半島の風物詩である温室の被害がひどく、ビニールハウスは敗れ、ガラス温室も割れている。955hPaの台風がすぐ近くを通過するとはこういうことか。
三河湾側のある集落で車を降りてみると、いきなり異臭。何かと思えば、オットセイのような形をした大型哺乳類が死んでいて(原型がしっかりわからない)、ハエが群がっている。浜から道を挟んで10メートルはあるのだが、こんなところまで流されたのか。周囲を見渡せば、缶、ペットボトル、発泡スチロールなどのゴミが散乱している。
半島の先端、伊良湖岬まで来てみた。いつになく駐車場がいっぱいだったので何かと思えば、周りの人がみんな上をじっと見ていて、人によっては双眼鏡を使っている。ああ、タカの渡りの時期か。
浜に出てみれば、やっぱり人造ゴミ、しかも微生物がなかなか分類できないものばかりで満ちている。文学的な表現力はないので思ったことをそのまま書くと、まるで海に嘔吐されたかのよう。台風をいい機会にお返ししますってところですか?
浜で絵を描いている老人男性がいた。海に背を向け、海が吐いたゴミに視線をむけて描いていた。キャンバスをちょっと覗いたが、抽象画のようでよくわからなかった。老人が私をうろんな目でみたので、私は無礼なことをしたと思いつつ一礼して立ち去った。後で何か聞けばよかったかな、と後悔した。