「てんぐさん」を食べる?

本日昼ごろ、豊橋掛川行き各駅停車上りにて。区間浜名湖の手前くらいだったかな。
ロングシートの車内で私の隣に座った60過ぎくらいの女性二人の会話から、盛んに「てんぐさん」「てんぐさん」の語が漏れてくる。「へえ、天狗にさんをつけるんだ。結構身近な存在なのかな」と興味を持って聞き耳を立ててみた。すると、「とった「てんぐさん」を日干しにする」「食べる」などの物騒な単語が。ええ、天狗を食べる?カニバリズム!?フォークロアの中の隠喩としてもなんか物騒だぞ。
考え出して数秒で気がついた。ああ、「天狗さん」じゃない、テングサ(天草)だ。なんてバカなんだ。
テングサはトコロテンや寒天の原料であり、ずいぶん衰退してしまったものの豊橋市が日本一のゼリー産地*1であったころ、これを支えたのは三河湾浜名湖沿岸のテングサだったはず(うろ覚え)*2昭和19年生まれの父に聞けば、昭和30年代には旧田原市の白谷(三河湾岸)などではテングサの採集や天日干しは日常の光景だったし、現地の子供のいいこづかい稼ぎだったそうだ。私は…昭和60年代から平成初年でそういうものを見た記憶がないなあ(意識してないだけかもしれないが)。
今でもテングサ取りをしている電車のおばさんたちは、どこに住んでいる人だったんだろう。聞いておけばよかったなあ。

*1:ゼリーといっても冷やしたものではなく、寒天ゼリーという乾燥した袋入りキャンディーくらいのものが中心です。現在でも豊橋のゼリー生産の中心である杉本屋製菓(http://www.sugimotoya.co.jp/)のページなどを参照のこと。

*2:最近、豊橋のゼリー産業は衰退してうどんなどの製造の下請けをしていたり、ゼリーを作るにしてもテングサを安い輸入モノに頼っているので、地元のテングサ自体にあまり需要がなくなっているのかなあ。未確認です。