中世城郭マニア垂涎の城

さきごろウィキペディアで記事名でもめた、静岡県島田市菊川の諏訪原城跡に久々に行ってきました。JR金谷駅から旧東海道を30分くらい歩くと着きます。
この城跡でよくいわれるのは、ここを楽しめるようになれば、日本の城マニアを名乗る資格ができるようになるという話*1諏訪原城自体は天正期の武田氏の築城(とその後の徳川氏の修築)による戦国時代の城郭で、石垣とか漆喰の壁、ましてや天守(閣)などありゃしません。建築物は残っていませんし、復元もなされていません。ただ、土で作った遺構*2がとてつもなくよく、「土の芸術」といった感じなのです。武田氏*3の城郭技術の粋をこらしており、後ろ堅固の構造、自然地形を生かした深い横堀、武田氏の個性ともいえる丸馬出、巧みな進入ルートへの備えなど*4、確かに中世城郭の教材みたいな城跡だなあ、と冬空の下2時間半くらい居座ってしまいました。
そういえば18年度から19年度にかけて発掘事業をやっているので、前回(19年2月)行った時は作業はしていないもののまさに主郭部は発掘中という感じあちこち掘り返してありましたが、今日見てみるともう終わっちゃた感じで、ほとんど埋め戻されてました。調査報告書も読んでみたいな、とできあいのマニアは二の曲輪から美しく見える富士山と大井川を見ながら思うのでした。

*1:名乗れたからといってどうだという話ですか

*2:建築物、工作物、土木構造物などの痕跡。今回は三番目の「土木構造物」が大きなウエイトを占めます。

*3:甲陽軍鑑』や『武徳編年集成』によると馬場美濃守信春の築城だそうだが、これらはいわゆる確実な史料ではないので、断言はできない。ただ、相当優秀なプランナーによるものでは、とは『中世城郭事典』の言。

*4:わかんなかったかたは読み流してください。マニアのたわごとです