マンガ版『墨攻』はかっこいい「漢」たちの話でした

ということで、休日を利用して某所でマンガ版『墨攻』を一気読み。なんだよ、映画版と全然違うじゃん!ある限られた空間で男たちが己が持つ全ての力を尽くして戦う話でした(言い切ってもいい)。主人公はさえない小さなおっさん*1だし、対する敵役の趙の将軍・巷淹中だって坊主頭にくちひげの人のよさそうなおっさん。また、作画は意図してるのかしていないのかすごく泥臭い。だが、主人公らや城邑の民、そして趙の兵卒たちが見せる戦うという目的に対する真摯な姿勢や、ふとみせるしぐさの「漢っぷり」のよさ及び哀愁に読者は魅せられたし、それがこのマンガを海外に出しても人気を博した理由なんじゃないの?
対する現在公開中の映画では主人公の革離も巷淹中将軍も見かけはそれはそれはかっこいいが、戦いに対して不要な迷いが多く、マンガが演出していた本当のかっこよさがちっとも表現されていない。うーん、そりゃあ俺らは近代人で迷いは深いけど、必ずしも銀幕でみたいのは自分と同じように迷う人ばかりじゃないんだけどねえ。
ちなみに、マンガ版では前編の梁城攻防戦に続いて不自然な形で巨大化する秦との戦いが始まるのだが、無理やりに歴史に話をつっこんだ挙句完全に蛇足になってますので、読まなくてもいいかと。墨家の戦闘部門にいる主人公が、秦の宰相である呂不韋も主力の将軍王翦も知らないってどないやねんw

*1:って池乃めだかみたいな形容だが