ドナルド・キーンが田原に来た!

まことにおそるべきことに、御年83になるドナルド・キーン氏が田原(愛知県田原市)に来て講演を行った。会場の崋山会館の裏の小学校(私の母校なのだが)からは学芸会の練習として崋山の少年時代を描く「崋山劇」をしている音が聞こえるという、わかるものには少し風情ある中の講演だった。
演題は「渡辺崋山とその周辺の人々」。崋山の家族・友人・師・殿さまなどとの関係について、日本語で(キーン先生なのであたりまえといえばそうだが)1時間強話された。崋山の母への格別な愛情、その母の武士の母としての姿、絵を通した椿山・馬琴らとのつながり、師で儒者である一斎や慊堂、そして主君である若き隠居三宅友信・藩侯康直。断片的には知っていることも多いのだが、やはり学者のまとめられた知識の中で聞くと、得るものは多いですね。ウィキペディアの崋山は多分にやりっぱなしなのだが、また整理したいものです。

いやしかし、83歳にしてよくも田原くんだりまでいらっしゃっていただきました。田原市民として本当に光栄です。質問の時間にちょっと焦点がぼやけたものがあったのだが、その内容も整理してきれいにお答えになったのはさすがだと思いました。今後とも末永くお元気でいらっしゃってくださいね。

講演後、近くのおじいちゃんが学芸員に近づいていって一言。

「いやー、コロンビア大学の大先生が田原までいらしてお話をしてくださるなんて、ありがたいねえ」

そういう感心かい。半島という条件から避けられないこういう「草深さ」はこちらに戻って相変わらず痛感しているが、ううむ。今回の講演も、200人くらいの会場がちょうど一杯になっていたが、豊橋でやったら600人収容の公会堂でもひきもきらんだろうなあ。