大河ドラマの惜しい話

昼に今年のNHK大河ドラマの『江』初回の再放送を観た。とりあえず、時任三郎浅井長政お市鈴木保奈美の組み合わせは、私のガキの頃のトレンディドラマじゃないか。ある種の懐メロ感…と思う私は年を取ったのか。これは私よりもう一回り年長の層を取り込もうとする作戦だな。
それはさておき、大河ドラマのCGの小谷城のリアルさにちょっと感動。私は好きな城跡なので5度ほど行ったことがあるが、なんかそのイメージとCGがだぶってすごくよかったよ。しかし、時任長政がお市保奈美に小谷山?から琵琶湖を見せるシーンで、湖岸右かたに見える山が城塞化されていない…。あそこは山本山*1が当時はあったはずなのに。地図で見ればわかるが、小谷城から山本山城に東西にわずか1里そこそこの防衛線を引くと、北から攻めてきても(すなわち大永の朝倉宗滴)、同じく南からでも(すなわち元亀の織田信長)、北国街道と北国脇往還を遮断できるとともに、小谷城への包囲を避けられるのだ。そんな大事な拠点を軽視するとは!、なんということだ。そんなことだから、山本山城主の阿閉貞征がいじけて寝返って一気に均衡が崩れ、浅井朝倉が共倒れしてしまったのだ*2!ああ、トレンディドラマ当主では戦国を渡りきれぬわけだ。
と、くだらないことはさておき、惜しいなNHK。むしろ景色の中に中世城郭があったほうが、一層リアルだっただろうに。

*1:http://map.yahoo.co.jp/pl?lat=35.44102222&lon=136.21897500&ac=25203&az=212.621&v=2&sc=3Yahoo!の地図参照。縮尺を大きくすると、真東に小谷城が見えるでしょ?

*2:史実では、天正元(1573)年8月8日、(おそらく)羽柴秀吉の調略によって山本山城主の阿閉貞征(?-1582)が寝返ると、信長はその日のうちに出陣、小谷城-山本山城防衛線を一気に突っ切り、小谷城の後方の山の大嶽(今の小谷山主峰)を嵐に乗じて攻略した。さらに援軍に出ていた朝倉義景の軍が敗色を見て撤退に入るところを強襲して総崩れに追い込み、一気に越前に乱入して朝倉氏を滅ぼした。さらに近江に取って返して小谷城を攻撃、9月1日に落城させた。なお、この間わずかに22日であり、それだけ山本山城が織田方に渡ったということが重要な事件であったかわかる。