Unser taglich Brot/Our Dairy Bread*1

去年日本でも少し話題になった映画『いのちの食べ方』をちょうど地元で放映してくれたので見てきました。ナレーション、キャプション一切無しで、ヨーロッパのどこかの農場や屠殺場で農産物や畜産物がいかにして食糧になっていくかをじっと追っていく映画でした。映画のホームページにも"Welcome to the world of industrial food production and high-tech farming!"とうたっているように、極度にオートメーション化された無機質な空間と「我々が口にする食べ物」との関わりが主題のようです。特に鶏・豚・牛などの動物の生きている感じとそして死後の血や肉とあくまで無機質なオートメーションとの対比は不気味なまでです。頭の中ではある程度知っていることとはいえ、映像にして見せられるとまた違いますね。ただし私たちはにおいをかぐことはできませんし、生き物及び死骸のなまなましさや、現場の空気まではなかなか届いてこないので、映画を観て味わった感覚は全体の一部ではありますが。ちなみに会場にいたおじさんの一団は「何が言いたいのかさっぱりわからん映画だった」と盛んに首をひねっていました。愛知県田原市の一次産業就業率はまだ3割を超えており、農業や畜産に従事している人だったら、「日常と似た風景を映画でもったいぶって見せられても」などという感じかも。
まあでも、安く肉を口にしようと思ったら、あの無機質なオートメーションからはもう逃れられないんだなあ。現代に生きることはそれだけでまことに罪深く、よほど自覚しないと嗿となり果ててしまうということなんだなあ。