四川省の地震

まずは、四川省地震で亡くなられた多くの方にお悔やみ申し上げます。また、未だに建物の下に埋まっている方の一刻も早い救出をお祈りします。
さて、今回の地震の被災地には成都・都江堰・綿竹・江油・剣閣と中国史好き、特に三国志好きには聞き覚えのある地名が出てきます。というのも、東京大学地震研究所ほかの発表を聞くところによると、地震を引き起こした活断層成都と漢中をつなぐ山地を貫いて北東から南西方向に伸びる回廊のやや北側に沿って伸びているからです(Googleの航空写真など見ると大変わかりやすいです)。三国志のみならず多くの歴史の舞台であった地域が被災と聞けば、一層心が痛みます。
一方で、気になるのが被災映像で取り扱われるのはその回廊沿い、漢族の居住地域ばかり。確かに回廊部の漢族も大きな痛手は被りましたが、でも活断層の直下の山岳地帯はチベット族の居住地域*1の状況がいっこうにわかりません。被災状況、そもそもの生活状況、そして現在の救助体制その他、いろんな意味で気になります。街道が地震でふさがっているというのがなんとも痛いですが。
ところで、今日のNHKの21時のニュース。中国共産党が海外からの救助活動の受け入れを拒否する一方で、共産党幹部や軍による救助活動を「劇的」に取り上げるようマスコミに指示している旨報じていました。ちょうど私は晩飯を食べていたのですが、腹が立って、まるで中国人のように箸を床に投げつけて怒りを表明してしまいました(その場には誰もいなかったのですが)。NHKのニュースの作り手の作為、いや義憤を感じるような構成でした。
しかし、共産党幹部のおっさんどもはネットとモバイルの時代をわかってねえな。アヘン戦争から160年、痛い目にあい続けている中国人はそんな報道を芯から信じる甘い連中じゃないぞ。うわべもたいがいにしたいほうがいいと思うが。
まあ、それはさておき、共産党幹部のみなさま、おたくの国の偉い学者*2は、仁義を失った統治者には革命が起きて放伐されるとおっしゃってましたが、今回の地震の対応を受けて、思うところはありませんか。あなたがたに仁義はありますかね?

*1:震源地はガバチベット族羌族自治州というように、もともとは漢族が大多数の地域ではありません。現在はわかりませんが。今回の地震で、チベット西蔵自治区以外にもチベット人居住区があると多くの人が認識したとしたら、ある種怪我の功名かもしれません。

*2:孟子です