映画『墨攻』、雰囲気は楽しめたかしら

{{ネタバレ}}
まあ中国の歴史モノだしね、くらいの気分で公開中の映画『墨攻』を観てきました。
原作としているマンガは立ち読みでざっと読んだくらいしか知らないが、さらに原作の酒見賢一氏の小説*1を読んだことはある。比べてみるとなんだかメロドラマだなあ。加えていちいち仰々しいところがハリウッド映画な感じ。まあ戦国時代の中国の雰囲気が十二分に味わえた(あくまでそれっぽいだけだろうが)から、楽しかったけどね。でも、墨家の話なのだから、もっと攻城兵器も守城用の武器も出てきてほしかったなあ。あ、城門に甕城という壁の囲いをさらに取り付けていましたが、あれは中近世の日本なら「馬出し*2」と呼ばれ、洋の東西を問わず城の防御に用いられた手法です。
とはいえ、墨家の思想を現代的観点からもてあそびすぎじゃないかなあ。そうか、兼愛じゃなくて恋愛しようってかw泉下の墨家がこの映画を観たら、監督とプロデューサーに疾黎*3を投げつけてやりたくなりそうな感じだな。

*1:映画のクレジットを見ると森秀樹氏のマンガ版を原作としているらしい

*2:もっとわかりやすくいえば、大阪冬の陣真田丸ということでいいのかしら

*3:球に金属のとげとげをつけたもの。『墨子』によるとこれを等間隔に城壁の上に置いて城を守るそうな。映画では戟の穂先の手前に小さな疾黎がついてたなあ