「住宅」(めも)

帝塚山が高級住宅地かどうかウィキペディアではもめていたが、私には建築史や住宅街の進展については知らないので、ちょっと別の見方から。

住宅という言葉を諸橋大漢和で引いてみると、用例がほとんどない。やはり新しい言葉なのは間違いないようだ。で、唯一例として示した元は『運歩色葉集』。む、なんじゃこれは?と思ったら、なんと日本の室町時代の書籍。京大が所蔵している本がネットで出ている』*1ので見てみた。ちなみにこの本を見ると編纂は天文16年(1547年)、本自体は元亀2年(1571年)の写本。

うーん、これは熟語一覧…それも意味はあまりついていない。当時の熟語を調べるのにはいいのかもしれないけど、住宅の当時の言葉の意味や用法はわからんなあ。どうりて諸橋にも用例なので文章ではなく「住宅『運歩色葉集』」とあっただけなわけだ。うーん、惜しいなあ。16世紀にはあった言葉というのはわかったが、その先に進みにくい展開ですなあ。

ああしかし、惜しい本だなあ。当時の語彙がわかるという時点で確かに超一級資料だけど、もろこしの国の『芸文類聚』やその他多くの書物みたいな用法集成みたいなのは見てるだろうに、そこまでやってくれれば万々歳なのにな。

ということで、「住宅」のわかったことは
# 日本独自の言葉らしい(現在の中国語には「住宅」という言葉はあるが、どうも近代日本からの逆輸入のようだ)
# 室町時代後期、16世紀には既に語彙が存在した
# でも当時の意味はよくわからない
むう、いまいちな結果。続報はあまり期待できませんが、もう少し粘ろうかしら(でも日本史の書誌のあさり方なんて、知らないよお(泣))