堕落の連鎖

現在、日本語版ウィキペディアでかなりの数でコーエーのゲームの武将ファイルから転載する事例があり、相当数削除されたもののまだまだいくつかは野放しになっています。私自身「しょうもないなあ」と思いながら対処その他の方任せになってしまっています。一方で、コーエーの武将ファイルもかなり質の悪い部分があり、あまり知名度のない戦国武将などはよくわからない軍記物の記載をさも史実のように書き立てられ、それがウィキペディアに丸写しになるなどの事例も発生しています。
そんなことを頭の片隅に置きつつ本日夕刻、電気機器量販店のパソコンゲームのコーナーに『三国志11 武将ファイル*1』を見つけたので、立ち読んでいたら、なんかウィキペディアで見覚えのあるような記載がいくつも…「ああ、やっぱりそうなんだな」とちょっと落胆しながら何人かの「武将」の内容をパラパラと見ていて、鍾繇のところであぜんとしてしまった。私がウィキペディアで加筆したとしか思えない文言が入っているのだ。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E9%8D%BE%E3%83%A8%E3%82%A6&diff=1358123&oldid=1356246
大変に拙い加筆でお恥ずかしいのだが、この文中にある「書家としても、巧みな小楷の書法でその名を残している」がそのまんま『三国志11 武将ファイル』に使われていました。私の加筆は2005年1月30日、『三国志11 武将ファイル』の発行日は2006年3月。少なくとも、私のこの加筆部分についてはコーエー側の転載のようですね。もちろんウィキペディアGFDLなので出典が明記されていれば著作権の問題は回避できるのですが、武将ファイル巻末にあった参考資料一覧にはありませんでした。
本件については、ちょっと腹が立ったので『三国志11 武将ファイル』を購入の上ゆっくりチェックを入れされてもらいます。著作権については現段階の確認ではただの引用の範囲内程度の転載の可能性があるのでどうのこうの言ったりはしません。しかし、公に向けた刊行物がウィキペディアをそのまんまもって来るなどというのは少なくとも許されない堕落ではないですか?ウィキペディアは所詮素人集団の書き込みの集合物に過ぎないんだから。もちろんインターネット上で高い影響力を有してしまっているウィキペディアが御社出版の書籍からの転載をしていることは許されないことです。でも、それをも含めてインターネットを通してこうして知の堕落の連鎖が起こって入ることについて、どう思われますか、コーエーさん?ちょっと恥じ入るところはありませんか。

*1:この「武将」という表記も大変迷惑で、この影響かウィキペディアにおいてもおかげで参謀や行政官までみんな「武将」と定義したがる書き手がいて困ってます