マンガ日本史をリアルに比較!

日本全国10人(いるかな)のこの日記をごらんの皆様、こんばんは。今日からにわかに始めた何でも比較のコーナーです。

さて今日のテーマは、こどもの理解に役に立つ、デフォルメが正しい理解をさまたげるなどと、甲論乙駁の子供向けマンガ歴史もの。今日は、その画におけるリアリティを競ってもらいます。

エントリーは、学研・集英社小学館の各マンガ日本史。比較がぼやけてもいけないので、テーマを絞ります・・・ずばり・・・16世紀以降における城郭の発達(マニア過ぎかしら?)!!ではテーマ別に分けて始めてみましょう。

1、16世紀中葉までの城壁と土盛り

・学研 そのそも背景描写など少ないためわかりにくいが、10歳足らずの徳川家康駿府館に入るときに(=1550年前後)、白壁三層の天守が描かれている←時代背景まるでなし
集英社 小田原城躑躅が崎館など登場するが、いずれも土壁・板葺き屋根・土塁で統一。
小学館 興国寺城・小田原城・今川館・躑躅が崎館など登場。土塁・土塀・板塀などバラエティ豊か。板塀が不揃いなどリアル。

この時点で学研のものを見る気がなくす。そもそも背景に書かれた画が少なすぎる。子供が時代の雰囲気を感じるには不適格・・・だな。

では、学研を失格として第2ラウンド!

2、16世紀後半の歯境期におかる城郭建築

集英社 1568年、近江観音寺城の落城を描写。土塁・土壁で描写→観音寺城からは石垣が発掘されているのでダウト!近江の城郭はこれ以外でも先駆的に石垣が本格的に使用されている。いわゆる石垣と白壁をふんだんに使った城郭は安土城以降としている。

小学館 1573年にほぼ同時に落城した小谷城と一乗ヶ谷館を描写。一乗ヶ谷館は土壁・土塁なのに対し(=これは問題なし)、小谷城は石垣・白壁・・・。白壁は保留するが、石垣は小谷城から出土している。城郭技術の向上と信長の圧迫に併せ、浅井長政が石垣を元亀年間に構築したといわれる。すなわちこれは相当に考証されている可能性が高い。安土城は詳しい描写で描く。一方で、1582年の備中高松城は土塀・内部構造物は木造で描写(これも正しい)。

うーん、小学館の圧勝!ちなみに石垣などのその後をみると、17世紀初頭の江戸城から算木積みが始まっていたりして、そのへんでもおっそろしくリアル。

というわけでお母さま、リアルな歴史を学んでもらうためには小学館日本の歴史がいいようですぜ。ちいとマニアックすぎる部分も確かにありますが、少なくともこういう背景の城一つでもなんかすごいですよ。
(なお、コナン両津ほかの版権キャラのご案内によるマンガ日本史はあまりに比較にたえぬので今回は除外しました)